投稿日:2015-11-16 Mon
秋が深まる休日、家族で明日香村の甘樫丘に登りました。私は初めてでしたが、妻は何回か遠来の友人を案内して登ったことがあったそうです。めざすは北側の甘樫丘展望台(豊浦展望台)。そこからは、広く大和盆地が見渡せるのだと。なにげない静かな散策路を、あれこれ樹木を観察しながら登っていきます。アラカシ、シラカシ、クヌギ、ヤマボウシ、アカメガシワ、ムクノキ、ニレ、モッコク、シャシャンボ、コシアブラ、ヤマコウバシ。。。ほう!なるほど!と、それぞれの木の枝ぶりを眺めて楽しみます。
展望台につくと、すばらしい展望が開けました。近くの畝傍山、香久山、耳成山はもちろん、北側の三輪山から春日山にいたる青垣、東の多武峰、高取山、そして対する西方の葛城山、二上山、信貴山、矢田丘陵、その奥の生駒連山、と、すべての大和を形作る山々と丘陵が見渡せます。西方の二上山と信貴山の間に、遠く六甲山系の山々が見えるではありませんか!そして、さらに遠く真北に目を馳せると、どうやら比叡山らしき秀峰が見えています。これはすごい場所だ!景色があまりに大きく展開していて、地球の円さを反映して、景色がムクっているのです。こんなところで、地球が丸いということをあらためて感じるとは。
こんな場所はそうたくさんはないだろう、と思うのです。標高は148mとありますが、この展望台の標高はそんなものでしょうか。この高さも絶妙なのかもしれませんね。鳥瞰図、鳥が俯瞰する景色とはまさにこんな感じ?ここは飛ぶ鳥の飛鳥、甘樫丘。
奈良(大和)のランドスケープ(景観)を自分のなかで脈絡をつけてみたい!静かな気分で散歩した昼下がりに、そんな欲望を掻き立てられました。どこから始めるか?地質、地形、神話、古代史、そんなところから。。。
それと同時に、この仕事を始めてからひたすらトラックで走り回っている大和盆地を、あらためてこうしてちょっと俯瞰したような視点から眺めると、毎日蟻のようにあくせくしている自分を眺め下ろすようで、なんだかとてもいい気分転換になりました。
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投稿日:2006-03-30 Thu
イタリアという国の地形は「現在」どのような状態か?イタリアの地盤はどうやってできたか?イタリアという国を地形という観点から大観すると、重要な要素が6つあることに気付く。1.オーストリア・スイス・フランス国境にかけて東西に走るアルプス山脈
2.イタリア半島をリグリアからシチリア島まで縦に背骨のように走るアペニン山脈
3.アルプス山脈とアペニン山脈の二つの尾根の中間に展開するポー川流域のパダノ平野
4.コルシカ島・サルディニア島の二島
5.ティレニア海(ローマ側の海)
6.アドリア海(ヴェネツィア、アンコーナ側の海)
この中でも特に重要なのは1と2、すなわちアルプス山脈とアペニン山脈の二つの山脈だ。山が造られる力学的プロセスのことを地学では造山運動(英語ではorogenesis。orosはギリシャ語の山、genesisは誕生の意)と呼ぶ。山脈・山岳地帯が国土の大部分を占める世界中の国々(日本が良い例)において造山運動はランドスケープの骨組みを理解する重要な鍵になるが、それはここイタリアおいても同じだ。いや、イタリアの場合、造山運動というものがなければ国土は出来なかったといってよい。そして造山運動と同時にランドスケープの骨組みを作る決定的な作用がもう一つある。風雨による地盤(岩)の浸食と川海による堆積作用だ。簡潔に言えば、3のパダノ平野はその作用によってできあがった。山を造る作用(土砂の岩化と隆起)と山を削って平地となす作用(岩の土砂化と堆積)。突き詰めて言えば、この二作用の拮抗のうちにランドスケープの骨組みが成り立っているということができる。それは今でも絶え間なく続いているプロセスだ。ただ我々はそれを日常において知覚できない。なぜならば、それは地学的な時間において続行中のプロセスだからだ。しかし、ひと度この地学の時間に敏感になれば「ランドスケープは無常である」というテーゼが根本から納得できるだろう―。
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