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  S A C H I M I N E

Author:  S A C H I M I N E
世界の庭を見渡して考えたい―ほんとうにいい庭ってどんな庭?お客さまのよりよい暮らしに貢献する庭づくりをめざして、日本とイタリアの長~い歴史と深~い文化と豊か~な自然をインスピレーションの泉とします!。。。でも現実は暑さ寒さ虫と戦う植木屋の毎日でございます― (っ^-^)っ゙
ホームページはこちら:www.sachimine.com

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奈良国立博物館八窓庵で点前を
奈良国立博物館の八窓庵という茶室で点前をする機会を得た。古田織部好みという四畳台目の茶室。午後の曇天の薄明が風炉先窓、勝手窓を透け通って点前をする自分の居場所を照らす。その心地よさはなんとも形容しがたいものだった。草庵風の茶室の中で点前をするのは初めての経験だ。これまで名席といわれる茶室をいくらか拝見はしてきたものの、そこでは点前をすることはおろか、点前を具体的に想像することさえ難しかった。今回は違う。この歴史的名席の中で温かい湯が風炉の中で煮えたぎっている。そして自分が棗からお茶をすくい、柄杓でお湯をくみ、茶筅をふるい、お客様のためにできるだけおいしく点てようと全神経をその場に集中させている。その自分の身体と神経を温かく包んでくれるこの和の建築がある。それはこれまで習ってきたお茶の事々をいろんな意味で肯定してくれる実体験だった。「泡のすべてに神経が行き届いているようなおいしいお茶でしたよ」と言ってくださったお客様のことばを聞いて、よかった、と本当に思った。

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茶道 | 21:53:33 | Trackback(0) | Comments(0)
力をぬくこと30年 その2
先生が自分のヨーロッパ人のお弟子さん達を日本のお茶の稽古に参加させるときまって日本人の先生方は腰を抜かすという。先生のお弟子さん達が上手すぎるからだという。なぜ上手かといえば、お茶をするのに姿勢や呼吸を重視し、単に点前の手順を教わればいいというお茶を教えていないからである、と先生はおっしゃる。確かに去る9月にローマの北のブラッチャーノ湖の畔にあるカプラローラ(Caprarola)という街―この街については有名なファルネーゼ宮の庭園を含めて後日紹介したい―で行った一週間の集中セミナーには、ベルギー、ドイツ、フランス、アイルランド、イタリアから生徒さんが集まったが、長年稽古されている生徒さんのお茶をするときの姿勢といい、落ち着きといい、息遣いといい、目を見張るものがあった。そして、お茶をするとき以外の時間にみせる彼らの人間としての成熟度にも感心した。みな謙虚にして静か、かつ周囲に気を配ることを忘れない。ベルギーから来ていた先生のお気に入りのお弟子さんであると思われるティエリ氏は裏千家の奨学金をもらって京都に留学した経験を持つ。そのいたずらそうで、謙虚で、静かなまなざしは好感がもてる。またお茶も非常に上手だった。ドイツ出身で現在アイルランド在住のウィンフリードさんも極めて静か、そしてまた謙虚。彼は私にお茶の最初の手ほどきをしてくれた。またベルギー在住で、自分で茶室と庭を作ったというスタフさん。すでに仏を内にもっている―。オーストリアで大工をしているという若者のハンス。異様に気が利く。そして明るい。

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茶道 | 05:57:12 | Trackback(0) | Comments(0)
力をぬくこと30年
先生によるとローマのお茶は真面目すぎる、と心なき人たちが言うらしい。つまり、お茶をするのに坐禅をしろとか姿勢を正せとか力を抜けだとか先生がやたらと厳しく言うからだという。しかし、道場に通う生徒さんたちは口をそろえて私に言う。最初からいい先生に出会って君は幸運だ、と。確かにそう思う。

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茶道 | 05:44:44 | Trackback(0) | Comments(0)
茶とランドスケープデザイン
数ヶ月前からお茶の稽古を始めた。抹茶という緑色粉末は30年間飲み続けてきたが、茶道というものに出逢うのはこれが始めてだ。30年間飲み続けてきたのは、ちょうど昨年の今頃亡くなった祖母が毎日のように飲んでいたからだ。彼女は裏千家の茶道を修めていたようだが、家で私が彼女のお茶のお供をするときには作法がどうのこうのとほとんど言わなかった。偶に「本当はそんな風にはせんだーで(そんな風にはしないのよ、の方言)」ともらしていたが。彼女はとにかくお茶という緑色粉末が好きだったのだろう。そして我々孫達とお茶を飲むのが至福の時間だったのかもしれない。だから作法抜きでも全然構わなかったのだろう。その彼女がホスピスで最期を迎えるちょうど二ヶ月ほど前に、私は帰国帰省した折にホスピス病棟に彼女を訪ね、クラシック音楽の流れる喫茶室で彼女に最後の抹茶を点ててあげた―。これが最後だろう、と分かっていた。しかし最後だからといって別に何の変哲もない。いつものように作法なき茶を二人で愉しんだ―。

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茶道 | 07:18:46 | Trackback(1) | Comments(0)