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  S A C H I M I N E

Author:  S A C H I M I N E
世界の庭を見渡して考えたい―ほんとうにいい庭ってどんな庭?お客さまのよりよい暮らしに貢献する庭づくりをめざして、日本とイタリアの長~い歴史と深~い文化と豊か~な自然をインスピレーションの泉とします!。。。でも現実は暑さ寒さ虫と戦う植木屋の毎日でございます― (っ^-^)っ゙
ホームページはこちら:www.sachimine.com

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茶が日本の庭にもたらしたもの
最近ちょっとハマっていることがあって、それは、金蘭大学名誉教授の生形貴重氏の講演を録音したものを拝聴することです。

生形氏は、国文学者で茶道研究家。専門は中世日本文学、茶道文化論。大阪の表千家の茶家「生形朝宗庵」の生まれ。

録音はシリーズで13回もの。一回15分ほどのお話です。

まるで淀川長治を彷彿とさせる語り口で、ぐいぐい惹き込んでいかれます。

喫茶のはじまりから、村田珠光、武野紹鴎、千利休、そして利休と信長、秀吉の関係、さらに大名茶の発展、そして茶の湯の芸術としての価値にいたるまで。お話は、主要人物とそれぞれの生きざま、時代背景、社会経済、芸術におよぶ。もちろん、茶の湯に関係するお道具、茶室、茶庭についてもかなり突っ込んで取り上げておられます。

茶庭というのも、さまざまな要素が絡み合った産物であるというのが理解できます。時代の要求、時代を敏感に感じ取った人物たちの試行錯誤や命を懸けた挑戦、先人に倣い先人を越えようという意気込み。。。

「茶庭」というとひとつの決まった形があるようで、しかし、それはいろんな変遷を経たものであること。

いやー、日本人に生まれたことを感謝しなければいけませんね。こんな芸術の世界が今でも受け継がれて生きているということはほんとうにすばらしいことです。

生形氏のお話は、YouTubeでも拝聴可能です。「千利休と茶の湯の美」 味わい深い講義です。

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本の紹介・書評 | 22:01:56 | Trackback(0) | Comments(0)
『茶の湯の心で聖書を読めば』
ちょっと面白い本を見つけました。

タイトルが目を惹くだけでなく、読んでみると著者の真摯なメッセージが伝わってくるよい本でした。高山右近を自分の目指すべき人物とした著者!

茶の湯の世界と聖書との関係をなかなかバランスよく解説しています。そして茶庭についても聖書のことばを参照しつつきちんと説明しています。ただ、私からすると、『聖書の心で茶の湯(茶庭)を読めば』となるわけですが。。。

「狭い門からはいりなさい。滅びにいたる門は大きく、その道は広いからです。そして、そこからはいって行く者が多いのです。いのちに至る門は小さく、その道は狭く、それを見いだす者はまれです」という聖書のことばの引用。

ひとりでしか通ることのできない狭い道、パラダイス、自然の本質を切り取る景色。キリスト教に鍵を求め、庭の本質、茶庭の髄にまで洞察を導く。牧師さんであり茶人である著者ならではの論考です。

高橋敏夫 『茶の湯の心で聖書を読めば』 いのちのことば社フォレストブックス 2015年 (初版2006年)



本の紹介・書評 | 06:27:02 | Trackback(0) | Comments(0)
重森三玲 『茶庭入門』
ここに重森三玲による『茶庭入門』という本があります。

ここのところ、ちょっと茶庭(露地)についてあらためて勉強しており、だいぶ前に買ったこの重森さん(なんて「さん」付けしちゃったりして。。。)の本を再びめくっています。
昭和二十一年発行、昭和二十二年再版。めくるたびにほのかなカビの臭い。日焼け甚だしく。
重森印が発行所記載の欄に押してあったりして、また見開きに「斉藤」なんていう印が押してあったりして、まさに古本です。(ところでこの斉藤さん、って重森氏のお弟子さんのあの斉藤さんかな?だとしたらこの古本、なおさらいいね!)

重森三玲の文章は、力強い。例の私の本『San Sen Sou Moku 山川草木』の第二章「草」の部では、先人たちが記した庭へのさまざまな思いを日本語からイタリア語に訳して紹介しましたが、その中でも重森三玲の文章を2つ紹介しています。彼の文章は臨場感たっぷりで、ぐいぐい惹きつけるものがあります。そして使命觀に満ちている。

さて、この『茶庭入門』の序文も、例外ではありません。ちょっと長いのですが、がんばって全文転記してみます。

大自然と云うものを、あくまでも根幹として組みたてられるものが日本庭園であるが、その中で茶庭は殊に、自然美愛好の結晶である。自然が秘めた扉を開けて、その中にある美しいものだけを抽出したものが茶庭である。

出ましたね~ 重森節。いきなり、ズバッと言い切っています!シビレます。。。
そして続けます、

併しながら一面茶事の法則と調和する為に、藝術上で最も肝要な意圖と云うものを活躍させなければならない。この意圖は、自然の法則を歪めたものであってはならない。それだけに茶庭を作ることも、茶庭を茶事の上で用ひることも、茶庭を觀賞することも中々六ヶ敷い點がある。

日本民族の古い傳統的なすべての生活様式を溶け込ましたものが茶庭であると同時に、何時如何なる新しい生活様式にも即應させるのが茶庭の生命でもあるから、茶庭は最も古くして且つ最も新しい存在である。その要點が解らない人々は、茶庭と云ふものを無用の長物し去るの風があるが、決して茶庭は左様な浅薄な存在ではない。日本民族性の眞の姿を寫し出すのが茶庭であるから、茶庭はさうした意味での縮圖でもある。すべての生活を切りつめた中に、美の極致を見出して作り上げられたものが茶庭であるから、最も狭い土地が利用されて、而も最も大きな景觀を描き出すのが茶庭であり、池を掘る代りに、手水鉢に一ぱい汲み入れた水が、池泉にも增す景觀が見せられる。縮小されてこそ、美は極度に高潮を示すものであって、それが茶庭の要素である。

侘びも、寂びも、枯淡も、潤ひも、勢いも、なじみも、冴えも、映えも、ともに日本民族性としての悠久な訓練が積まれて居り、それ等のすべてを一木一石に表現することを生命とする茶庭は、日本民族の正しく味ひ得る領域であると共に、世界人の理解にまで發展するものでなければならない。斯様な祖先の遺してくれた貴重な存在を理解してこそ、民族悠久への資となるであらう。

斯る民族文化の偉業が、今日の我が國民に理解出来ぬ點がありとすれば、惜しむべき状態と云わねばならない。著者が茶庭への入門書として、何人にも茶庭を理解せしむべき一書を脱稿したのも、決して無益でないことを信じてゐる。

我が民族文化の偉業を顧みる時、今日の世界平和に對する時局を是が非でも乘り切らねばならぬ覺悟が、更に根强く擡頭するのである。これあってのみ世界人類の文化的指導が達せられるであらう。

昭和廿一年二月五日 
重森三玲識


重森先生、ありがとうございます。何も申し上げることはございません。
茶庭の要点を示すにあたり、時代の要請とはいえ、「世界人類の文化的指導」にまで思いを馳せられた貴方様は、やはり偉大な芸術家でいらっしゃいました。

庭を生業とする人間にとって、なんども噛み締めるに価する文章です。




本の紹介・書評 | 23:33:46 | Trackback(0) | Comments(0)
本の紹介 『茶庭・小庭づくり 施工プランと実例21』
今日は日本語の日本庭園についての本を一つ紹介したい。小松市の岩谷浩三氏が監修され、淡交社編集局編で最近出版されたきれいな本だ。岩谷先生についてはこのブログでも何回か紹介したことがあるが、私のローマのお茶の師匠野尻命子先生の長年のお友達で、御父上は茶道具を商んでいらっしゃったらしく、茶と文化財の目利であり茶人、しかも茶庭もお作りになったという方で、浩三氏はその御子息。彼も茶人にして庭師。昨年『山川草木』の本の執筆のために小松市の岩谷先生のもとにお邪魔し、いくつか作られたお庭も見せてもらった。とても優しく、もてなしの気があふれる庭が多かった。有馬の瑞苑というホテルの庭は大胆にして繊細、しかも実にモダンで粋ないい庭だった。

この『茶庭・小庭づくり 施工プランと実例21』という本は茶庭(露地)を中心にその基本的考え方、露地の分類、構成要素と説明が進み、後半は実例が豊富。何よりも魅力的なのは綺麗にカラーで描かれた平面図や詳細図。そして写真もとても美しい(特に岩谷先生の御父上の作られた庭、天厳居という茶室の露地の写真はお見事)。ヴィジュアルにここまで上手に仕上げられた庭園のマニュアルはこれまでなかったのでは?と思う。全部で90ページ程のどちらかというと小ぶりな本だが、とても暖かい感じがするし、大事にいつでも近くに置いておきたくなる本である。また「お茶事を通して露地を知る」という箇所は、露地をどのように使うかが写真付で解説され、大変分かりやすい。トリノ大学の講座でこの本を紹介して内容も引用して授業したら、学生さんから評価がとても高かった。ぜひイタリア語か英語に訳してくれ!という要望が多かった。

プロ・アマどちらも参考にできる、見ても美しい、使っても便利というとてもいい本だ。淡交社編集局編 『茶庭・小庭づくり 施工プランと実例21』 淡交社、京都、2006年。ISBN 4-473-03337-6。1900円。




本の紹介・書評 | 21:32:22 | Trackback(0) | Comments(3)
『山川草木』 本の目次
今回出した本の目次だけでも日本語訳して紹介しておこう。章立ては、山川草木にならって、第一章:山、第二章:川、第三章:草、第四章:木、となっている。

mokuji.jpg



本の紹介・書評 | 16:11:40 | Trackback(0) | Comments(3)
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