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  S A C H I M I N E

Author:  S A C H I M I N E
世界の庭を見渡して考えたい―ほんとうにいい庭ってどんな庭?お客さまのよりよい暮らしに貢献する庭づくりをめざして、日本とイタリアの長~い歴史と深~い文化と豊か~な自然をインスピレーションの泉とします!。。。でも現実は暑さ寒さ虫と戦う植木屋の毎日でございます― (っ^-^)っ゙
ホームページはこちら:www.sachimine.com

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イタリアの地の形成 ~ 地学的観点から (1)
イタリアという国の地形は「現在」どのような状態か?イタリアの地盤はどうやってできたか?イタリアという国を地形という観点から大観すると、重要な要素が6つあることに気付く。

1.オーストリア・スイス・フランス国境にかけて東西に走るアルプス山脈
2.イタリア半島をリグリアからシチリア島まで縦に背骨のように走るアペニン山脈
3.アルプス山脈とアペニン山脈の二つの尾根の中間に展開するポー川流域のパダノ平野
4.コルシカ島・サルディニア島の二島
5.ティレニア海(ローマ側の海)
6.アドリア海(ヴェネツィア、アンコーナ側の海)

この中でも特に重要なのは1と2、すなわちアルプス山脈とアペニン山脈の二つの山脈だ。山が造られる力学的プロセスのことを地学では造山運動(英語ではorogenesis。orosはギリシャ語の山、genesisは誕生の意)と呼ぶ。山脈・山岳地帯が国土の大部分を占める世界中の国々(日本が良い例)において造山運動はランドスケープの骨組みを理解する重要な鍵になるが、それはここイタリアおいても同じだ。いや、イタリアの場合、造山運動というものがなければ国土は出来なかったといってよい。そして造山運動と同時にランドスケープの骨組みを作る決定的な作用がもう一つある。風雨による地盤(岩)の浸食と川海による堆積作用だ。簡潔に言えば、3のパダノ平野はその作用によってできあがった。山を造る作用(土砂の岩化と隆起)と山を削って平地となす作用(岩の土砂化と堆積)。突き詰めて言えば、この二作用の拮抗のうちにランドスケープの骨組みが成り立っているということができる。それは今でも絶え間なく続いているプロセスだ。ただ我々はそれを日常において知覚できない。なぜならば、それは地学的な時間において続行中のプロセスだからだ。しかし、ひと度この地学の時間に敏感になれば「ランドスケープは無常である」というテーゼが根本から納得できるだろう―。

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地質・地形 | 21:02:27 | Trackback(0) | Comments(2)
禅精神のディメンションとプロポーション―龍安寺庭園をめぐって
ヴェネツィアのカ・フォスカリ大学で「数学と文化」という面白い国際シンポジウムがあり、そこで龍安寺の庭について30分の短い講演をしてきた。シンポジウムの主催者であるローマ大学の数学の教授ミケーレ・エンマー氏が招待してくれた。ヴェネツィアのドルソドゥーロ(Dorsoduro)という地区にカンポ・サンタ・マルゲリータ(Campo Santa Margherita)という広場があり、そこに面して、昔教会だった建物が修復され、かつては映画館、いまはカ・フォスカリ大学に付属する講堂になっている建物がある。そこがシンポジウムの会場だった。

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講演・講義 | 05:35:53 | Trackback(0) | Comments(0)
トリノ大学で「日本庭園」のセミナーを終える
トリノ大学の農学部から誘いがあり、修士課程のランドスケープデザインのコースで丸一日のセミナーを行ってきた。テーマは日本庭園について。学生は約30人。すべて建築、農学、工学などの学部課程を修了し、ランドスケープデザインについて深く勉強したいという人たちだ。中には未熟な私などよりもずっと職業・人生経験の長いだろうと思われる建築家の女性やガルダ湖(ヴェローナの北)の私営植物園の館長さんであるという女性もいた。こういう「学生さん」の前で授業をしなければならないのは少々つらいところだが、私は腹を決めていた。「教える」などとは大げさで、自分がこれまで日本庭園について勉強してきたことや考えてきたことを「共有する」にすぎない、と。そうすると、こちらも偉ぶる必要もなく、心が開かれて__またお茶の話に関係してしまいそうだが__なんとなく学生さんともコミュニケーションがとりやすくなる、そして授業がお互いにとって面白くなる、というわけだ。

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講演・講義 | 20:20:27 | Trackback(0) | Comments(0)
ヴィーコ湖の魅力
週末を利用して、ヴィテルボの南にあるヴィーコ湖(Lago di Vico)の畔にあるアグリツーリズモに一泊する小旅行に出かけた。アグリツーリズモの名前はLa Valle di Vico。この宿は妻の職場のルームメートだったナターシャが薦めてくれた。名前をローザというおかみさんがとても愛嬌がある人で、日曜の朝寝坊して10時半まで寝てしまい朝食を逃したら、「あんたたち、待ってたのよ。どうして降りてこなかったの?」と優しく訊いてくれた。ローザさんとはほんの15分程の会話だったが、こんな人のいい経営者ならまた戻ってきてもいいと思った。ちなみに宿泊代は一泊朝食付で二人部屋に二人で泊まって一人35ユーロ。安くもないが、そう悪くもない。しかし、我々が泊まった二階の「ハヤブサ」という部屋の二つの窓からは、湖の水面がわずかに、見えすぎない程度に見え、カルデラ湖であるヴィーコ湖を取り囲むなだらかな山稜が夕陽でくっきりとシルエットとなって見えた。美しい。朝は小鳥が溌剌と啼いていた。と、そういう気持ちのいい宿である。何をすることもなく、ただ湖畔を歩いていい空気を吸いたいというのなら申し分ない拠点だろう。湖は車で走ったら20分ほどで一周してしまうことができるほど小さい。どの地点からも対岸が手に取るようによく見える。

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山・川・海・湖 | 22:42:38 | Trackback(1) | Comments(0)