投稿日:2015-08-16 Sun
イタリア人の友人 Lorenzo ロレンツォは2005年に知り合ってから10年来の友人です。私が2007年にイタリアにいながら日本庭園についてイタリア語で書いた本、San Sen Sou Moku, il giardino giapponese nella tradizione e nel mondo contemporaneo (『山川草木:日本庭園の伝統と現代』)を出版した出版社 CasadeiLibri の若い社長さんです。お母さんはヴェネチア市の文化担当局長をしたりイタリアの下院の国会議員も経験したらしい。お父さんはポルシェ社のお偉いさん(?)だとか。。。そんな親を持つちょっとセレブなロレンツォですが、本人はいたって気さく。でも、さすがに知的好奇心や人間・文化の価値についてその普遍性を探求する姿勢は飛び抜けています。長年、合気道を修練し、今は道場で教える立場にあります。私が日本の庭、日本の文化について本気で考えるようになったのは彼の影響が大きいと思っています。『山川草木』を執筆する過程で彼と幾度となく交わした熱い議論―禅について、書について、武士道について、石、動と静、東洋の美の伝統について。それらの議論のすべてが今の自分のどこかにまだ蓄積されているのを感じるのです。
その彼が最近FBでメッセージを送ってきました。
チャオ、サチ
何日か前のことだけど、とても不思議でユニークな夢を見たよ。君と多田先生(※1)が出てきた。
崇高な調和(統一)というものの原理に関する交互の暗黙の認識(※2)があったよ。
ここで説明するのはちょっと難しいけど、とにかくすごく独特で面白い夢だった。
また近況をしらせてくれ。
ロレンツォ
※1 イタリアで数十年にわたり合気道を教授されている先生。ロレンツォの師匠。
※2 なんのこっちゃ!という訳ですね~。でもいちおう直訳するとこうなってしまう。彼のイタリア語では、un mutuo e tacito riconoscimento del principio dell'unita' divina なのですが、正直私もその正確な意味が掴めません!これまでの彼との議論から、ある程度想像はつくのですが。。。 principio とか unita' とか divina とかは文脈によっていろんな意味があるので難しい。とにかく、これは長年合気道を通して、また古今東西の書物や絵画を精読・精査して、合気とか人間性の普遍というものを真摯に考え体得しようとしている者が言い得るコトバなのでしょうか。
そんな彼に、しかも多田先生とご一緒に夢見てもらうなんて、私にとっては名誉でしかありません。そして、かつて熱い議論を交わしたときのように、人間の生み出し得るものの普遍的価値という次元まで庭に関する自分の思想や美意識を磨いていかなくてはいけないのだと、あらためて教えられます。そのような知的活動は日々の庭作業からはとても程遠い世界なのですが、それを行ったり来たりしなければならないのだと。
それにしても、ロレンツォがいう 「崇高な調和(統一)というものの原理に関する交互の暗黙の認識」 とはどういうことなのか。もう一度会って話してみたくてしかたありません。
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