投稿日:2016-05-30 Mon

石の壁に挑戦 --- 大変な仕事でした。
住宅の居間の外部空間、テラスに設けられた曲線を描く壁。外と内を仕切り、やさしくテラスを包み込むような壁。
「やさしく、しかもキリッと」というのが設計士さんからの注文。栃木県でアースワークという設計事務所を営まれる建築家の菊池氏の設計された住宅です。
ここのところ何回か使っている二上山の安山岩の栗石。これを使ってみてはいかがでしょうか?と提案したのは私でした。
思った以上に、いや予想したよりも何倍も何倍も大変なしんどい作業でした。途中でへこたれそうになりました。泣きそうになりました。身体が悲鳴をあげました。
しかし、一度やりますと言った以上はやり遂げなければならない。当然です。当然ですが、やはり折れそうになりました。
二上山の採石場の栗石の山からひとつひとつ使えそうな石を選び出す作業。どの部分にどう使うかを想定しながら選ぶ。そして、エッジの効いたシャープな石も必要なため、栗石だけでなく、採石場内の発破をかけて岩山が崩れているところにも寄り付き、そこからまたをひとつひとつ選び出す。。。「危ないからそんなに寄り付くな!」と採石場の係員さんに叱られながら。
持って帰った石はすべていったん水で洗い、狭い現場に所狭しと仮置きし、そこから実際にまた一つ一つ選びながら手元に運び、積んでいく。あいばを求めて金締めで石を叩き、必要に応じてサンダーで削る。
内側には曲線のRCの壁が用意されていました。そこに薄い石をタイルのように貼ったのなら楽だったかもしれない―。でもどうしても積みたい。RCの壁に沿って、あくまでも石積をする―。
「イサム・ノグチを超えてください」と菊池氏の注文メモには書いてありました。
ふざけんなー!!!
いや、しかし、イサム・ノグチか―。あの牟礼の美術館の石壁を思い出すだけで鳥肌が立ってくる。あー、(このあとのことばが出ない)
とにかく今の自分ができるだけのことをやってみようとやってみました。このような仕事の機会を与えてくださった諸氏に感謝です。
もっと上手くなれるようにがんばりたいです!石の仕事おもしろいですね!でも、しんどいですね!
多武峰をめざして吉野から桜井に抜ける道の傍には段々の田んぼがあって、その土留めに実に美しい石積がされていますが、あー、と溜息がでますこと。


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投稿日:2016-05-02 Mon
久しぶりにイタリアで日本の庭について教えることになりました。フランチェスコがモンツァの農業学校で日本庭園の本格的なコースを作りたい!ということで、私と、神奈川の庭師、星宏海さんと、3人でタッグを組むことに。かつてイタリアにいたころは、頭でっかちで庭づくりの現場を知らないままトリノの大学などで教えていました。もちろんそれは理論中心でした。あれから長い時間が経ち、私も日本で庭の仕事に日々勤しむようになりました。
しかし、現場で働けば働くほど、自分の無知や技術の未熟さが切実に感じられ、はたして自分がイタリアでまた堂々と日本の庭について教えられるのか、本当に悩ましい限りです。
星さんのような立派な庭師さんとご一緒させていただくのもなんとも恐縮。。。
それでも、誘ってくれるフランチェスコの期待に応えられるように、自分が持っているなにかを、イタリア人のガーデナーさんたちと共有できれば、それはそれで意味があるのでしょう。
そして、なによりも大好きなイタリアにまた定期的に訪れることができるのは、うれしい!
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