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  S A C H I M I N E

Author:  S A C H I M I N E
世界の庭を見渡して考えたい―ほんとうにいい庭ってどんな庭?お客さまのよりよい暮らしに貢献する庭づくりをめざして、日本とイタリアの長~い歴史と深~い文化と豊か~な自然をインスピレーションの泉とします!。。。でも現実は暑さ寒さ虫と戦う植木屋の毎日でございます― (っ^-^)っ゙
ホームページはこちら:www.sachimine.com

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トリノ大学で「日本庭園」のセミナーを終える
トリノ大学の農学部から誘いがあり、修士課程のランドスケープデザインのコースで丸一日のセミナーを行ってきた。テーマは日本庭園について。学生は約30人。すべて建築、農学、工学などの学部課程を修了し、ランドスケープデザインについて深く勉強したいという人たちだ。中には未熟な私などよりもずっと職業・人生経験の長いだろうと思われる建築家の女性やガルダ湖(ヴェローナの北)の私営植物園の館長さんであるという女性もいた。こういう「学生さん」の前で授業をしなければならないのは少々つらいところだが、私は腹を決めていた。「教える」などとは大げさで、自分がこれまで日本庭園について勉強してきたことや考えてきたことを「共有する」にすぎない、と。そうすると、こちらも偉ぶる必要もなく、心が開かれて__またお茶の話に関係してしまいそうだが__なんとなく学生さんともコミュニケーションがとりやすくなる、そして授業がお互いにとって面白くなる、というわけだ。


それにしても丸一日合計8時間フルにイタリア語で授業をすることになるとは。かなりの準備はしていたが、それでもやはり大変だった。

まず午前中は、簡単なイントロダクションをした後、まず日本の自然、地形、気候について紹介した。これらが日本庭園のバックボーンとなるからだ。『作庭記』が「生得の山水をおもはへて、その所々はさこそありしかと、おもひよせ。。。。たつべきなり。」というときに参照しようというのがまさに自然、地形、気候等々であるからだ。

そのあと、日本庭園の宗教思想的背景をある程度の歴史に沿って説明した。ここはいわゆるアニミズモ、道教、四神相応、須弥山、三尊石、山岳曼荼羅、浄土、修験道、禅などのこと。そして近代に入って西欧文化の到来、19世紀の「都市に緑を!」と「景観の近代化を!」の運動などが日本にもたらした影響についても簡単に語った。

次に、日本庭園に潜む5つの「ランドスケープデザインの戦略」というテーマで話をした。ここには、例の借景や縮景をはじめ、他に私が自分で読み取ったいくつかの日本庭園のデザイン戦略について紹介した。

そしてあとは、実際のプロジェクトの紹介。まず、伝統と自らの創造力とを駆使し素晴らしい作品を残した日本庭園における20世紀の巨匠たち、すなわち、重森三玲、村野藤吾、イサム・ノグチの作品を紹介した。そして枡野俊明氏、竹中工務店ランドスケープ設計部、スタジオ・オンサイトなどの近年の作品を紹介し、そのあとで自分自身のプロジェクトのいくつかを紹介した。

そして午後の最後の3時間を使って学生個人個人にA4大の色紙をベースに使って庭作りをしてもらった。A4の紙を折って、垣、庭の地面、縁側の立ち上がり、そして室内に通じる縁側、という空間の一様の区分を設けた。テーマとしては、京都の旅館「俵屋」からインスピレーションを得て、これを「俵屋プロジェクト」と称した。俵屋には各部屋に個性的な坪庭がついている、という。(私は残念ながら見たことはない、が、スイスの元ボス現友人であるランドスケープアーキテクト、パオロ・ブルギが熱く私に語ってくれた。)つまり、学生一人一人が各部屋に付随した個別の坪庭を作り、お客に扮する私に自室の庭園の見所を説明させるというプロットを設定した。ただその場合、単に日本庭園のイメージを真似るのでなく、各自が現在住む自然環境とか生まれ育った環境など、各自にとって意味のある環境やその中で育まれた思想や文化を想定して庭に反映させるように、という支持をした。そうでなければ、単なる燈籠や飛び石を設けた平凡な典型的日本庭園になってしまう。

学生さんは実に真面目に、しかし余裕とユーモアも維持しつつ模型作りをしてくれた。結果として非常に面白いそれぞれまったく異なる30余りの坪庭ができあがった。これを教室の外の廊下に一列に並べ、各自に約2分の時間を与えて簡潔にそのアイディア、庭の構成、材料の説明をしてもらった。こうして一気に30もの模型が並ぶと、グループとしてのエネルギーが感じられるのだ。説明する学生さんは皆目が輝いていた。こういう機会は、たとえそれが「遊び」であっても、やる気が湧いて、真剣に取り組めるものなのだ。いくつかの例をあげれば、あるデンマークからやってきたという学生さんは、丸い水のカーテンの中に季節によって変わる一輪の花を生けるという、なんとも詩的でエレガントな庭を作った。またある学生さんは、三角形が醸し出すエネルギーをテーマとし図形的にも構成的にも面白い庭を作った。また別の学生さんは、垣(塀)の下部に長いスリットを設け、外を通行する人の色とりどりの足と靴を眺めて、お客は庭に設けられたシンプルな水たまりに足をつけて夏に涼をとるという面白い庭を作った。また別の学生さんは、庭に大きく水面をとり、壁に設けた大きな黒石が季節や時間によって様々に落す影を見て瞑想するというような庭を作った。そしてヨルダンから来たという学生さんは、借景に砂漠の景色を使うという構成を持ち込んだ。以上、数例を挙げただけでそのバラエティがみてとれる。各自、私が紹介した日本庭園の粋(エッセンス)を自分なりに再構成して坪庭を作ってくれた。

この演習が学生さんに非常に気に入られ、後で皆から深く感謝された。私は学生さんの日本庭園に対する興味関心の深さにも感心した。私にとっても非常に楽しく有意義な経験になった。
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講演・講義 | 20:20:27 | Trackback(0) | Comments(0)
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