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  S A C H I M I N E

Author:  S A C H I M I N E
世界の庭を見渡して考えたい―ほんとうにいい庭ってどんな庭?お客さまのよりよい暮らしに貢献する庭づくりをめざして、日本とイタリアの長~い歴史と深~い文化と豊か~な自然をインスピレーションの泉とします!。。。でも現実は暑さ寒さ虫と戦う植木屋の毎日でございます― (っ^-^)っ゙
ホームページはこちら:www.sachimine.com

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イタリア造園事情 2
星様から非常に示唆に富んだコメントをいただいたので、私の思うところを述べてみます。

「本当の意味での「ゆとり」や庭のデザイン上の『間』」という点は、日本に限らず世界中の庭づくりで問題にされていいと思います。そもそも庭を本当に享受するには心の落ち着きと自然(植物や石)と人間(使い手である施主や庭を訪ねてくる友人など)に開かれた心が必要であって、そういう観点を庭造りに盛り込むことは、おっしゃるとおり、現代の「合理的で低コスト」という二重のしがらみが支配する社会では本当に難題だと私も思います。私がこのたび出版した本には小堀遠州の『書捨て文』もイタリア語訳して載せていますが、「山路の蔦かずら、明けくれこぬ人をまつの葉かぜの釜の音たゆることなかれ」、まさにその心でしょう、現代の庭作りで最も見直されるべきものは。そういう意味で私は、茶の庭について最近非常に関心をもっていて、またここから学ぶもの大だと実感し、日本人の二人の庭師(奈良の牧岡先生、小松の岩谷先生)との幸運な巡り会いを経て、彼らから多くを学んでいるところです。ところが、実は、生活のゆとり、また庭で友や家族と過ごす安らぎの時間、というテーマで話をすれば、我々日本人はイタリア人に学ぶこと大でしょう。

おっしゃるように確かに日本では「庭師」が軽んじてみられているということがあるかもしれません、が、逆に言えば、「庭師」は軽んじられてもいっこうに「かまわない」(動じる必要のない)存在だと私は思うのです。それは、やはり自然の営みと人間の生活上のニーズの両方に最も身近に、また手作業を通して「現場」から接している人たちであるのは間違いなく、そこでは世間の「軽んじる」価値判断とはまったく別の価値があると思うからです。もちろんそれを社会で広く理解してほしいというのは、それを仕事にして事業をしていくうえで当然現実の問題として浮上しますが。

さて、コメントの中でアートの問題について触れられていますが、私は常々、「アート(芸術)」という言葉が現代社会で完全なイメージの一人歩きをしてしまっていると思っています。アートというのが、特に日本では、「奇抜なことをする、自由奔放に自己表現をする」ということとほとんどイコールになってしまっています。これは本当に困ったことです。伝統的には、「アート」は全然こうではなかったはず。人間がよりよく住むために人間の技を自然の営みと照らし合わせて磨き込み、師匠から弟子に伝えていったその文化遺産の総体のことを「アート」と呼んでいたはずなのです。そういう意味では、私は、上に述べた理由からも、実は「庭師」こそ「アート」の生き証人である、と思っています。

この「アート」の誤解から生じている現代社会の問題は深刻です。ランドスケープデザインにおいても「君はエコロジー志向か、それともアート志向か」などというおろかな発言もこのような誤解から生じていると私は思います。そして実は、このような「アート」の誤解がイタリアにおいては日本よりずっと少ないように常々感じています。イタリアでは「アート」が、「奇抜なことをする」ことではなく、「生活の質をよくする技」という認識が今でも定着しているように私には見えます。イタリアの多くの建築家が「奇抜な建物を作って自己表現する」のでなく、「生活の空間をよりよく演出する」ことに徹している現状を見てもそう感じます。また、庭を見れば、イタリア人は庭やテラスを上手に使って家族や友人との安らかな時間を過ごしています。それは生活の中の普通の時間であって普通の楽しみです。「奇抜なことをする」という考え方からは程遠いものです。この点で、イタリア人はすごい!と私はいつも感心します。「アート」を生活と分離していない、その点がすごいと思います。これは我々日本人がどこかで忘れてしまった、誤解してしまったことだと思われます。

本当に自然を相手に物を作るというのはどういうことか、それを私達は現代においてなおさら考えなければなりませんね。またご意見お待ちしてます。
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イタリア造園事情 | 05:29:07 | Trackback(0) | Comments(0)
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