投稿日:2015-12-30 Wed
最初の修行先で、いつ初めて聞いた言葉なのか、「樫に始まり樫に終わる」。剪定は―ということです。あまりに箴言じみた言い回しなので、たいそう謎めいた響きだなぁ、と感じたことを覚えています。ですので、このことば、いったいどういう意味なのか、それからずーと考えています。樫を切るたびに。もちろんだいたいどういう意味かはわかります。樫の剪定は初歩だよ、でも樫の剪定ほど奥深いものはないよ、だから最後は樫の剪定に行き着くんだよ、というような意味なのでしょう。
でも、です。それが言葉で、つまり頭でわかるのと、体でわかるのとではとてつもない差がある、というのはこれまた自明です。
このことばを最初に聞いたときから、いったい何本の樫を切ってきたのだろう。。。
大した数じゃありませんね!
ただ最初の修行先では、樫の剪定をするのに枝一本、芽一つ、葉っぱ一枚というような細部にまで指導を受け、午前中四時間ずっと一本の樫の上に乗ったまま、というようなこともありました。二つ目の修行先では、いろんな大きな樫をたくさん切らせていただきました。どちらも非常に勉強になりました。
樫は木としてさほど色がない分、切ったあとの結果に切る人の色が色濃く出るのかもしれません。書は人なり、というようなことが、樫の剪定にも言えるのかもしれません。自分と木が、自分の腕(技術)と木の性が、どういうふうに接点を見つけられたか、あるいは見つけられずに終わったか、他の木を切る時より樫を切るときはより鮮明に見えてくる、そんな気がするのです。そこがかなりスリリング。剪定って面白い。なかでも樫の剪定は!
毎年伺っているお客様ですが、つい先日、大きな樫を剪定しました。

これは、も ち ろ ん 剪定前!

これが剪定後。
別の角度から、

剪定前

剪定後

お隣のモチノキとセットで
この樫は、3年前に初めて手を入れました。その前は刈り込むように玉にして切ってあったものが3年ほど放置されていたため、爆発寸前!の状態でした。それを少しずつほぐし、ほぐし、やっと木らしくなってきました。そして落ち着いてきました。
8mか9mかそのくらいあるけっこうりっぱな樫です。
樫に始まり樫に終わる。始まったばっかり?!の わ た く し
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